太陽光発電の価格は2020年には五割低減!?
政府検証委員会が試算を発表
太陽光発電のコストが将来どのくらい低減されるのか、業界のみならず一般市民の注目が集まるところです。
この度、政府の「エネルギー・環境会議」のコスト等検証委員会では、太陽光発電の将来コストの見通しを示しました。それによると、住宅用太陽光発電システム価格は、2020年には2010年比で約50%、2030年には同比で約60%も下がると試算しています。
コストを試算するベースになる現状価格ですが、昨年度の調査によればシステム価格の平均は1kWあたり565.000円となっています(下表)。
ただし今回の試算ではモジュールが32〜36万円、パワコンが6万円、付属機器が4〜5万円、工事費が7〜8万円として、システム価格は各々を合計しておよそ48〜55万円(いずれも1kWあたりの単価)を現在の価格として設定しています。
この将来コストの算出は、「製品の価格は累積生産量が倍増するごとに、ある比率(進歩率)に従って低減する」という「学習効果」の理論に基づくもので、累積生産量の数字はEPIA(欧州太陽電池工業会)が作成した3つのシナリオを想定しています。
つまり「参照シナリオ」(2020年には2010年の1.9倍)、「普及加速シナリオ」(同8.7倍)、「パラダイムシフトシナリオ」(同18.6倍)のそれぞれで算出したものです。
学習効果による進歩率は、機器のコストは80%、工事費は現状のままを前提とします。
各シナリオ別の試算をみると、住宅用太陽光発電システムの価格(一kWあたり)は、現在の48〜55万円から、2020年には「参照シナリオ」で40.1〜46万円、「普及加速シナリオ」で27.4〜31.6万円、「パラダイムシフトシナリオ」で23〜26.6万円となります。
最も生産量が拡大する「パラダイムシフトシナリオ」では現在価格の五割低減となります。
ただし、五割低減となるパラダイムシフトシナリオによる生産増加は、メガソーラーを含んで現在の18.6倍であり、住宅用が単純にこの倍率になるという意味ではありません。
あえて住宅用をこの倍率とすると、2020年には約1800万戸に設置することとなり、この数字は一戸建て住宅の約七割に相当するため、現実的な数字とは考えにくいきらいがあります。
したがって価格半減のためには、全量買取制度導入後に拡大が予想される10kW超の産業用やメガソーラーの拡大に負うところが大きいといえます。
家庭での節電意識が明らかに!
「節電に対する生活者の行動・意識調査結果」発表される
今夏に続き、この冬も電力不足が懸念されています。一般家庭での節電も大きな課題となり、各家庭での節電行動が注目されるところです。
こうした中、みずほ情報総研株式会社では、第二回目の「節電に対する生活者の行動・意識調査」を九月に実施し、その結果がこのほど発表されました。
これは六月に実施した第一回調査に引き続く追跡調査で、調査対象は東京電力管内に一年以上居住していた成人男女で、725名の有効回答を得ているものです。
その内容の一部を紹介してみましょう。
この夏は、エアコン、冷蔵庫、照明、テレビなど各家電製品でなんらかの節電行動をとった節電実施率は、ほとんどの項目で六割を超えていました。
とくに照明の節電では、「こまめに消灯する」「日中はなるべく消灯」が九割、エアコンの節電についても「室温を高めに設定」「使用を控える」は八割を超える実施率となっています。
夏の節電ではエアコンが鍵になります。
前回の六月調査では、「今夏取り組むつもりであり、昨夏にも取り組んだ人」をベテラン層、「今夏取り組むつもりだが、昨夏に取り組み経験がない人」をチャレンジ層、「今夏取り組むつもりがない人」を非協力層と分類しましたが、今回の九月調査ではその各層に、今夏実際に実施したのか、また来夏は電力不足に関係なく取り組む意向があるかどうかを尋ねました。
すると、ベテラン層では今夏実施率は九割、来夏の実施予定が約八割になりました。
チャレンジ層では今夏の実施率が八割、来夏の実施予定は約六割という結果でした。
また非協力層でも約半数が今夏の節電に取り組んでおり、約三割が来夏も実施予定と回答しています。
このように家庭での節電の取り組みもあり、この夏は大規模な停電もなく乗り切れました。
しかし、電力不足が解消されたわけではありません。政府は電力需給が冬も厳しくなると予想。
関西電力管内に10%以上、九州電力に5%以上の節電を求めています。
ほかの電力会社管内には数値目標を設けずに節電を呼びかけています。
この冬も厳しい寒さが予想されます。各家庭や職場でも、夏とは違う節電行動が求められそうです。